アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信の分析と運用成績の確認。投資対象としてはおすすめできない。

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どうも、ぼーやんぐです。 

国内投信で米国株式に投資できる手段が増えてきています。

その中でも資金流入が大きく、大きな純資産総額を誇っているのがアライアンス・バーンスタイン米国成長株投信です。

今回は本ファンドの分析と、資金流入が大きいけど投資対象としてどうなのか検証していこうと思います。

 

 

アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信の基本情報

 アライアンスバーンスタイン米国成長株投信は2006年5月25日に設定された米国の成長株を投資対象としてファンドです。

本ファンドは下記の4つのコースを設定しています。

  • Aコース 為替ヘッジあり
  • Bコース 為替ヘッジなし
  • Cコース 毎月決算型 為替ヘッジあり
  • Dコース 毎月決算型 為替ヘッジなし

最初にAコースとBコースの2つが設定され、その後、2014年9月16日には毎月決算型のCコースとDコースが設定され、今では計4コースが運用されています。

為替ヘッジの有無、決算月の違いだけで運用されているファンド自体は4ファンド共通です。

 

アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信の投資対象

投資対象は先述した通り成長性の可能性が高いと判断される米国株式が主な投資対象です。

企業のファンダメンタルズ分析と株価バリュエーションに基づく銘柄選択を基本としたアクティブ運用が行われます。

銘柄選択はかなり絞りまれる様で、50~70銘柄のポートフォリオになるのが基本です。

f:id:bo-yang:20191031063048p:plain(出典:アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信目論見書)

 

ただ、ベンチマークがS&P500となっています。

S&P500に連動した成果を目指すのではなく、比較対象として設定されています。

 

ファンドの仕組み

 本ファンドはファミリーファンド方式で運用され、A~Dコースまで全て同じマザーファンドが設定されています。

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f:id:bo-yang:20191031063910p:plain(出典:アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信目論見書)

 

 決算月

決算月は下記の通りです。

Aコース 毎年6月15日、12月15日

Bコース 毎年6月15日、12月15日

Cコース 毎月15日

Dコース 毎月15日

 

運用コスト

運用コストは下記の通りで、4コース全て同じとなっています。

  • 買付手数料  ネット証券、対面ともに3.00%(税抜) 
  • 信託財産保留額 なし
  • 信託報酬 年率1.57%(税抜)

かなり割高な設定となっています。

 

アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信のポートフォリオ

本ファンドのポートフォリオを確認していきます。(2019年9月末時点)

下記は市場別比率です。

成長株が投資対象となっているため、新興企業向けの市場『ナスダック』の比率が52.3%と半分以上を占めています。

f:id:bo-yang:20191031065556p:plain(出典:アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信月次レポート)

 

業種別では意外ですが、ヘルスケアが一番大きな比率となっています。

続いてハイテク関連の情報技術やコミュニケーション・サービスが大きな比率を占めています。

S&P500では金融が10%以上の比率を占めていますが、本ファンドでは0.5%とほとんど組入れされていません。

f:id:bo-yang:20191031065559p:plain(出典:アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信月次レポート)

 

下記は組入れ上位10銘柄です。

上位3銘柄は誰もが知る大手ハイテク銘柄となっています。

組入れ銘柄は全49銘柄となっており、上位10銘柄だけで46%を占めています。

f:id:bo-yang:20191031065607p:plain(出典:アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信月次レポート)

 

アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信の運用成績

本ファンドの各コースの運用成績を確認していきます。(2019年9月末時点)

 

Aコース 為替ヘッジあり

純資産総額が283億円となっています。

2017年までは、あまり注目されていないファンドでしたが、2018年より急激に資金流入が増えています。

2019年8月、9月では20億円を超える流入となっています。

分配金は年2回出ており、上昇傾向にあります。

 

騰落率ではベンチマーク(S&P500)と良い勝負をしていますね。

設定来ではベンチマークが勝っていますが、過去3年では10%以上もの差をつけて本ファンドが勝っています。

ただし、全コースに言えることですが分配金課税前に再投資した場合の騰落率となっていますので、注意してください。

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設定来のチャートを見るとベンチーマークの方が高いパフォーマンスをあげていることが分かります。

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Bコース 為替ヘッジなし

Aコースよりも純資産総額が大きく612億円となっています。

Bコースも2017年より資金流入が増加しています。

また、分配金もAコース同様上昇傾向にあります。

 

騰落率でもAコース同様に設定来ではベンチマークに負けていますが、過去3年では13.3%もの差をつけて勝っています。

また、Aコースよりも高いパフォーマンスをあげており、円安傾向にあることが分かります。

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Aコース同様にベンチマークの方が強いですね。

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Cコース 毎月決算型 為替ヘッジあり

Cコースの純資産総額は1,420億円もあり、未だに毎月分配型は人気の様です。

運用期間の長いA,Bコースよりも多くの資金流入があります。

分配金は継続して100円が出ています。

しかし、2018年後半に株価が大きく下落した際は分配金が0円の月もありましたので、今は米国株式が好調ですが、株価が下落トレンドに入った場合は分配金は期待できないでしょう。

 

騰落率では為替ヘッジありのAコースと若干下ブレはしていますが、ほぼ同じとなっています。

ただ、分配金は受け取る度に課税されますので、再投資する場合は毎月分配型は避けるべきです。

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ファンドが設定されたタイミングがよく、ベンチマークを大きく突き放しています。

チャートだけ見るとA,Bコースよりもパフォーマンスが良く見えますが、設定したタイミングの問題ですね。

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Dコース 毎月決算型 為替ヘッジなし

Dコースは一番大きな純資産総額となっており、3,071億円も集まっています。

分配金はCコース同様にここ最近は毎月100円が出ています。

ただ、Cコースよりも騰落率が高いため、2018年では200円が出ている月も半分くらいありました。

設定来の合計分配金もCコースよりも1,000円多くなっています。

 

騰落率は為替ヘッジなしのBコースとほぼ同じとなっています。

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Cコース同様にベンチマークを大きく突き放しています。

f:id:bo-yang:20191031125738p:plain(出典:アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信月次レポート)

 

 

アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信は投資対象としてどうなのか?

結論から言うとS&P500に投資した方が良いでしょう。

 

コストが高すぎる

本ファンドへの投資がおすすめできない1番の理由はコストの高さです。

まず、買付手数料が3%(税抜)もかかるファンドに投資することはおすすめできません。

100万円投資しても、実際運用されるのは97万円になってしまいますからね。

 また、信託報酬も1.57%(税抜)と非常に高いです。

S&P500をベンチマークとしているeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の信託報酬は0.088%(税抜)です。

そのため、eMAXIS Slim米国株式よりも1.48%ほど高い成績を上げないと勝てないことになります。

 

実際に過去10年は米国株式が非常に好調で、アクティブファンドにとっては非常に有利な環境でした。

にも関わらずA、Bコースは設定来でS&P500に負けています。

これだとわざわざ高い手数料を払うのは馬鹿らしいです。

 

分配金は不要

分配金は受け取る度に約20%の税金が取られてしまいます。

分配金を受け取ることは運用面で非常に非効率ですし、パフォーマンスを押し下げてしまいます。

 

下記の青線は分配金を受け取った際の基準価格です。(赤線は再投資した場合の基準価格)

設定来ずーっと横ばいです。

大きく株価が下落したら資産は目減りしますし、分配金も出なくなるかもしれませんし、悲惨な状況になるでしょう。

定期的に分配金が受け取れるのは嬉しいかもしれませんが、おすすめできませんね。

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(チャート:SBI証券)

 

ただし、C、Dコースのようにタイミングが良ければS&P500に大きく勝つことができます。

株価を予測するのは難しいですが、上昇相場の時にスポットで投資するのは面白いかもしれません。

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さいごに

今回はアライアンス・バーンスタイン米国成長株投信について書いてきました。

米国の成長株に厳選して投資ができるため、インデックスよりも高いパフォーマンスが期待できるファンドです。

分配金の頻度や為替ヘッジの有無も選べるため、自分の好みにあったパターンを選択できます。

 

しかし、非常にコストが高く、長期投資には向いてないですね。

実際に10年以上運用しているA、Bコースは設定来の騰落率でベンチマークのS&P500に劣後しています。

上昇相場でスポット的に投資するなら、投資対象として悪くないですが、長期投資目的で投資するのは避けた方が良いでしょう。

 

今日も『ぼーやんぐのインデックス投資』に来ていただきありがとうございます!

 

 

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