auの投資信託がスタート。若年層が投資をはじめるきっかけとなるか。

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どうも、ぼーやんぐです。

丸井に続きau(KDDI)がアセットマネジメント事業をスタートしました。

大和証券と業務提携をして『KDDIアセットマネジメント株式会社』が発足してます。

そして2018年9月19日に投資信託4ファンドが新規設定され、9月28日からは順次、証券会社から販売開始されています。

低コストファンドが次々と新規設定される中、どんなファンドを作ったのか、また勝算はあるのか見ていこうと思います。

 

 『auの投資信託』って何?

携帯電話会社『au(KDDI)』が手がけるアセットマネジメント事業です。

20代から30代の若い人をターゲットに、投資経験のない層にアプローチしていくようです。

国内外の株式や債券に幅広く分散投資が出来、長期間保有・積立を目的とした商品構成となっており、『つみたてNISA』や『iDeCo』でも投資が出来るよう準備が進められています。

また、『手軽に資産運用を行える手段を提供したい』という説明もありますので、今後スマホアプリなど簡単に投資が出来るサービスも続けて開発されていくと予想されます。

 

最大の特徴としては『ポイント還元サービス』です。

auの投資信託』の保有額に応じて、『WALLTEポイント』や『Wow!スーパーポイント』を還元するサービスが準備されています。

年内開始予定のiDeCo向けファンドからポイントサービスがはじまります。

各社証券会社で購入した場合のポイント還元も準備中とのことです。

 

ファンドの販売は9月28日から下記5社で順次取り扱いスタートしています。

・SBI証券

・カブドットコム証券

・大和証券

・松井証券

・楽天証券

 

 

auの投資信託のファンド情報

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今回『auの投資信託』から出るファンドは4つありますが、全て国内外の株式と債券を組入れしたバランスファンドになっています。

その中でもインデックス型の『ベーシック』、アクティブ型の『プライム』と細分化されています。

 

auスマート・ベーシック

インデックス型の『ベーシック』から確認していきます。

ファンド名は下記の2つとなっており、非常に見分けにくいです。

・auスマート・ベーシック(安定)

・auスマート・ベーシック(安定成長)

 

auスマート・ベーシック (安定)債券80%、株式20%と超保守的なポートフォリオになっています。

もう1つのauスマート・ベーシック(安定成長)債券65%、株式35%と、やや株式比率は増えてますが、こちらも保守的な比率です。

 

下記が各資産クラスの組入比率です。

両ファンドともに国内債券の比率が大きいです。

f:id:bo-yang:20181001231132p:plain(出展:auスマート・ベーシック目論見書)

 

ファンドの投資形態はファンド・オブ・ファンズになっています。

ファンド・オブ・ファンズ

株式や債券に直接投資をするのではなく、株式や債券に投資をしている投資信託に投資をする形態のことを言います。

f:id:bo-yang:20181001232613p:plain(出展:auスマート・ベーシック目論見書)

 

下記が投資対象とベンチマークになります。

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気になったのは新興国株式のベンチマーク『FTSE RAFIエマージングインデックス』です。

あまり見かけないベンチマークでしたが、提携先の大和証券が『iFee新興国株式インデックス』で採用していました。

FTSE RAFIエマージングインデックス

流動性基準、時価総額基準、浮動株基準を満たした新興国の上場株式の中から、4つのファンダメンタル指標(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)に着目して構成銘柄と組入比率を決定されます。

現状では約350銘柄が組入れされています。

 

 

次にコストですが、『安定』、『安定成長』ともに買付手数料、信託財産保留額はなし信託報酬は0.378%(税込)となっています。

最近、新規設定されているインデックスファンドと比べると割高感を感じる設定です。

ファンド・オブ・ファンズは信託報酬が2重にかかるので、それが原因だと思われます。

 

auスマート・プライム

次にアクティブ型の『プライム』を確認していきます。

ファンド名は下記の通りで、こちらも見分けにくいです。

・auスマート・プライム (成長)

・auスマート・プライム(高成長)

 

auスマート・プライム (成長)債券55%、株式45%とプライムでも、まだまだ保守的なファンドとなっています。

auスマート・プライム(高成長)債券35%、株式65%と4ファンドの中で一番リスクの高いファンドとなっています。

 

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(出展:auスマート・プライム目論見書)

 

ファンドの投資形態は『プライム』もファンド・オブ・ファンズになっています。

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次に投資対象を見ていきます。

『プライム』はアクティブ型になりますので、ベンチマークは設定されていません。

一部の債券ではインデックスを採用しています。

f:id:bo-yang:20181002053022p:plain(出展:auスマート・プライム目論見書)

 

最後にコストです。

買付手数料は2ファンドともに2.16%(税込)信託財産保留額はなしです。

信託報酬ですが『成長』は1.17288%~1.41993%(税込)『高成長は』1.31409%~1.56141%(税込)と2ファンドともに超割高なコストになっています。

 

 

au投信は投資対象になるのか? そして勝算はあるのか?

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正直に言うと全く魅力のないファンドです。

コストが割高なのはもちろん、非常に保守的なバランスとなっているため、本当に若い人をターゲットにしているのか疑問です。

しかも、何故ここまで似通ったファンドを4つも出すのか、運用会社の意図も分かりません。

 

資産配分を見ても国内の比率が大きく、4ファンドともに50%を超えており、非常にバランスの悪い構成となっています。

国内は超高齢化、人口減少という2つのネガティブ要素がありますので、長期で投資して本当に資産を増やすことができるのかも疑問です。

 

個別で見ていくと『ベーシック』に関しては、債券比率が大きすぎます。

ボラティリティを低めにして、投資初心者にも安心して保有してもらおうという戦略だと思いますが、20年、30年と運用期間が取れる若年層の場合、債券比率が高いファンドを長期間運用するのは機会損失にもなります。

投資をはじめる入口としてはいいかもしれませんが、どちらかというと出口が近く、資産を守りたい人に適した商品だと思います。

 

プライム』に関しては複雑な資産構成のため初心者には不向きです。

コストも非常に割高ですし、アクティブ型のバランスファンドになるので、どのような値動きをするのか?どれくらいのリスクになるのかも分かりにくいです。

また、長期投資の場合、アクティブファンドはインデックスファンドに劣る可能性が高いので、ここまで高いコストを払ってまで投資するファンドではないです。

 

以上のことを考えると投資対象としては全く魅力がなく、絶対に投資してはいけないファンドです。

若年層を取り込むなら、『au』の人気CMに乗っかってファンド名を『桃太郎インデックス』や『金太郎アクティブ』とした方が初心者にも馴染みやすいですし、興味を持ってもらえると思います。

 

 

さいごに

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『au』が投資信託を始めると知った時はかなり期待しましたが、残念な結果でした...

まだ、スタートしたばかりですが、これでは資金流入も見込めないでしょう。

 

ただ、投資の選択肢が少しづつ広がってきているのは、いい事だなと思います。

『au』のような超メジャーな企業から投資に関する情報が発信されれば、投資に興味を持つ人も増えるでしょう、

もう少し商品構成などを改善して、業界全体にインパクトを与えて欲しいなと思います。

 

また、LINEからも資産運用ができるサービス『LINEスマート投資』が登場しました。

auは投資信託でしたが、LINEはスマホで簡単に投資できる仕様を採用しており、より若者や初心者が始めやすいです。

LINEスマート投資については下記を参考にしてください。

 

 『Boyang Journal』にきていただきありがとうございます。

 

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