どうも、ぼーやんぐです。
投資信託では、米国株式に投資できるファンドがここ1~2年で大幅に増えており、アセットアロケーションのコアとして投資をすることが簡単になりました。
2019年2月15日にまた1つ米国株式に投資できるファンドが設定されました。
ベイビューから出る『USマイクロキャップ株式ファンド』です。
どんなファンドなのか早速確認していきます。
USマイクロキャップ株式ファンドの基本情報
ベイビューのUSマイクロキャップ株式ファンドは米国の金融証券取引所に上場している中で、特に中長期的に高い業績成長が見込まれる超小型企業の株式に投資するファンドです。
マイクロキャップ株式とは、時価総額10億ドル未満の銘柄のことを指します。
運用会社ベイビューの情報は下記から確認できます。
ファンドの基本情報です。
設定日 | 2019/2/15 |
信託報酬 | 2.0952%(税込) |
購入時手数料 | 3.24% |
信託財産保留額 | 0.3% |
為替ヘッジ | なし |
決算日 | 毎年10月25日 |
償還日 | 2029年4月25日 |
投資対象
USマイクロキャップ株式ファンドは米国の新興企業に投資するアクティブファンドです。
マイクロキャップ株と呼ばれる超小型株は米国金融市場の時価総額1.6%と非常に小さく、その中から高成長を期待できる100~150銘柄が組入れられます。
この超小型企業は米国内での売り上げが約90%を占めているので、米国第一主義やレパトリ減税の大きな恩恵が期待されています。
(出典:USマイクロキャップ株式ファンド目論見書)
下記は2019年3月末時点でのポートフォリオになります。
組入上位10銘柄を見ても、日本ではほとんど知られていない企業ばかりです。
下記はマイクロキャップ株のセクター比率です。
大型株では『情報技術』や『コミュニケーション』などのハイテクグロース銘柄の比率が多いですが、マイクロキャップ株は『金融』と『資本財・サービス』が50%近くを占めており、米国内に堅実な事業基盤のあるバリュー系のセクターの比率が多くなっています。
大型株との比較
下記はラッセルが算出しているマイクロキャップ指数(超小型株)とトップ200指数(大型株)の比較チャートです。
マイクロキャップ株式指数は大型株式指数よりも長期的に高いパフォーマスを上げていることがわかります。
時価総額の小さい企業なので、株価も高騰しやすく、市場が好調な時は大型株を大きくアウトパフォームします。
ただし、標準偏差(リスク)は20%と高いので、下落相場になった時は注意が必要です。
(出典:SBI証券)
ファンドの仕組み
ファミリーファンド方式で運用されます。
実際の舵取りはベイビューではなく、米国の『ビクトリー・キャピタル・マネジメント社』に委託されます。
日本ではあまり馴染みのない資産運用会社ですが、2017年のバロンズ誌『全米運用会社ランキング』では10位に入っているので、会社としての安心感はあります。
(出典:USマイクロキャップ株式ファンド目論見書)
コスト
コストは非常に高くなっており、信託報酬で2.0952%(税込)もかかります。
しかも消費税が10%になったら2.134%です…
100万円投資して毎年2万円以上のコストがかかりますし、米国の大型株に投資できるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の10倍以上となっています。
買付手数料も3.24%きっちり取られますし、信託財産保留額(売却時)でも0.3%かかるので、コストが大きな負担となりそうです…
USマイクロキャップ株式ファンドは投資先としてどうか?
米国の超小型株に絞って投資できるファンドは少ないので、非常に興味は湧きます。
アップルやアマゾンなどのハイテクグロース銘柄の成長も鈍化してきているので、S&P500などの大型株をベンチマークとしたファンドのリターンが落ち込んでいくと予想されます。
そのため、高い成長率の期待できる米国のマイクロキャップ株に投資するのは1つの手段にしたいところですが…
投資する際に注意しなくてはいけない、2つの理由があります。
1.コストがべらぼうに高い...
信託報酬、買付手数料、信託財産保留額の3つ全てがかかってくるので、かなり高いリターンを得ないと手数料負けしてしまいます。
同じマイクロキャップ株に投資できるアセットマネジメントoneが運用するフィッシャーUSマイクロ株式ファンドでも信託報酬が1.998%(税込)と少しだけ安いものの、信託財産保留額が0.5%なので、どっこいどっこいです。
ニッチなものに投資するとなるとコストが高くなるのは仕方ないかもしれませんが、果たしてコストを上回るリターンを継続して上げ続けることが出来るのか疑問です。
2.リスクが高い
下記はフィッシャーUSマイクロ株式ファンドと楽天・全米株式を比較したチャートです。
レッドがフィッシャーUSマイクロ株式ファンド、ブルーが楽天・全米株式です。
2018年10月からの下落幅では楽天・全米株式に比べて非常に大きく下げていることが分かります。
最高値から最安値までで一時期-30%も下げています。
(出典:Yahooファイナンス)
2018年12月末時点での騰落率でも、6ヶ月と1年では10%以上の差が出ています。
ベイビューから出る USマイクロキャップ株式ファンドも近い数字にはなると思いますので、非常にリスクが高くなることは間違えなさそうです。
期間 | マイクロキャップ | 楽天・全米 |
1ヶ月 | -15.6 | -11.3% |
3ヶ月 | -25.2% | -16.9% |
6ヶ月 | -20.9% | -8.5% |
1年 | -19.6% | -8.1% |
リマーンショック後の様な上昇相場ではUSマイクロキャップ株式ファンドへの投資は高いリターンも上げることができ、コストが高くても気にならなかったでしょう。
しかし、2020年から米国の景気が後退していくとも予想されていますので、しばらくは株式市場全体も軟調になると考えられます。
そうなると、この高いコストをカバーするリターンも期待できないので、現時点ではUSマイクロキャップ株式ファンドへの投資は避けた方が良さそうです。
ベイビュー USマイクロキャップ株式ファンドのまとめ
今回は米国の超小型企業の株式に投資するUSマイクロキャップ株式ファンドは投資対象としてどうか分析してきました。
中長期的に高い業績成長が見込まれており、ここ10年は大型株をアウトパフォームしてきました。
将来の高いリターンを期待できる反面、コストが非常に高く、長期的な運用には向いていません。
短期で入るにしても、買付手数料が3.24%かかるので、上昇相場でないと手数料負けする可能性も高いですし、米国の景気後退も予測されているので、現時点では短期で入るのも危険です。
非常に面白いファンドだとは思いますが、コストが非常に高いですし、長期的にS&P500やVTI(全米株式)をアウトパフォームし続けるのは難しいと考えられるので、投資は避けた方が良いでしょう。
それでも投資したい場合は、本気の資産運用ではなく、余剰金でサテライトとして組入ることをおすすめします。
今日も『ぼーやんぐのインデックス投資』に来ていただきありがとうございます!
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